2017年4月21日 更新

(~5/14)東京から1時間半!現代アートと菜の花咲く里山のぬくもりに魅了される「いちはらアート×ミックス2017」

お出かけの季節が到来。普段から美術館めぐりが好きな私ですが、今回はアートとお出かけ気分が同時に楽しめる芸術祭「いちはらアート×ミックス2017」へ行ってみました。東京駅から1時間半ほどと芸術祭の中では気軽にアクセスできるところが決め手だったのですが、実際に訪ねてみたら軽い気持ちが一変。結論から言うと「とにかくみんなにも行って欲しい!」。そんな魅力たっぷりの芸術祭の様子をお届けします。

5月14日(日)まで開催!「いちはらアート×ミックス2017」

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すっかり暖かくなり、お出かけの季節が到来。美術館めぐりが好きな私ですが、「春の陽気を楽しみたい」と思い、今回はアートとお出かけ気分が同時に楽しめる芸術祭に向かうことにしました。

訪ねた先は、千葉県市原市で開催されている「いちはらアート×ミックス2017」。東京駅から1時間半ほどと芸術祭の中では気軽にアクセスできるところが決め手だったのですが、実際に訪ねてみたら軽い気持ちが一変しました。結論から言うと「すごくいいから、とにかくみんなにも行って欲しい!」。

アートあり、自然あり、そして人情あり。展示を回るたびに感じる温かさは、きっとうららかな気候のせいだけではないはず。そんな魅力たっぷりの芸術祭の様子をお届けします

まずは原風景と昭和レトロな列車旅を楽しんで

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芸術祭の会場となるのは、千葉県の中央に位置する市原市。東京駅からJR総武線に乗って千葉駅を通過し、五井駅で乗り換え。ここから、赤と黄色のレトロな列車「小湊鉄道」に乗車します。こちらの列車が、今回の芸術祭への案内役。日によってはトロッコ列車が走っているので、その日を狙って訪ねるのも一興です。
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発車してしばらくすると、窓の外にはのどかな風景が広がります。
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線路の脇を菜の花や桜が彩り、水を張った田んぼには白鷺が舞い降りてゆく…ビルの合間を縫って咲く都会の花々とは違い、ここでは豊かな自然が主体。窓の外は色彩豊かで 、どこを切り取っても絵になります。車窓風景をこんなにも必死に追いかけたのは子どもの時以来だなぁと思いながら、ワクワクした気持ちが湧き上がってくるのを感じました。
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30分ほどすると上総牛久駅に到着。会場をめぐるには小湊鉄道のほか、無料周遊バスやレンタサイクル、レンタカーなどを利用できますが、本数には限りがあるので予め確認しておくのがおすすめです。今回は事務局の平田さんに案内していただきました。

会場には、個性豊かな約40の作品がラインナップ

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「いちはらアート×ミックス2017」は南市原と呼ばれるエリアを舞台に、31組のアーティストが手がけた作品やイベントを開催しています。
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まずは上総牛久駅から一番近い「内田未来楽校」を訪ねることにしました。
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昭和3年に建てられたかつての小学校に入ると、広々とした教室を舞うカラフルな蝶々たち。足を踏み入れた瞬間、思わず「わぁ…!」と声が漏れました。これらは小学校で開催されたワークショップで余り布などを使って作られたもので、その数約1,300匹!
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どれもとびきり個性的で、中には刺繍をほどこした蝶々など手の込んだものも。地域の小学生やご近所の方々も参加したことで、これだけの数が実現したのだそうです。
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「この小学校はね、市原市内に唯一残る木造校舎なんですよ」。
そう声を掛けてくださったのは、内田小学校を守るために結成された「報徳の会」の常澄さん。小学校は三角形に骨組みを組む「トラス組」と呼ばれる屋根 をはじめ、建築物としても貴重なもの。当初、蝶々は天井から吊るす予定だったものの、作家のキジマ真紀さんが「この屋根を生かしたい」と提案し、棒で立たせる方法に変更したのだそうです。蝶々がなんだか嬉しそうに飛んでいるように見えるのは、今日まで小学校を守ってきた人々の思いを携えているからかもしれません。
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続いて訪れたのは「森ラジオ ステーション×森遊会」。
「森と人をつなぐ」をテーマに、小湊鉄道の駅員さんが寝泊りや作業に使う「詰所」 だった建物をまるごと森に見立てた作品。
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中に置かれたラジオを入れると、チャンネルごとに各地 の 森のライブ音が流れます。
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木々が揺れる音や風の音、鳥のさえずりとともに、天窓から差し込む光とスモークが穏やかな森の朝 を演出。傍には年季が入ったかつての作業道具がそっと配され、自然と人が穏やかに共生してきた歴史を思い浮かべました。
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前回の「いちはらアート×ミックス2014」の際に作られた作品で、展示後に有志の方々が「森遊会」を結成。そこから3年間丁寧に手入れを続け、作品を大切に守ってきました。
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4月は桜や菜の花が咲き誇り、5月になると輝く新緑があたりを包む美しい場所。以前訪れたカップルが作品に感銘を受け、この場所で結婚式を挙げたというロマンティックなエピソードもあるほどです。

作家の熱意や創作意図を肌で感じられるのが醍醐味

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少し足を延ばして 、「いちはらクオードの森」へ。
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そり立つ山々に囲まれた会場には、たくさんんの木彫り作品が置かれています。
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作品の合間から登場したのは、丸太をチェーンソーで削って作品をつくる「チェーンソーアート」の作家、栗田宏武さん。市原市出身で、市の観光大使も務めています。市原でも杉材が採れますが、廃材となってしまうものが多いことから、それらを利用して、今回は老夫婦と小動物たちの作品を生み出しました。
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老夫婦の顔に刻まれたシワの具合や動物たちの毛並みなど、朴訥とした中に年輪を重ねた木材ならではの風合いが漂います。一体、丸太からどうやってこんな素敵な作品ができるのだろう。「ちょっとやってみましょうか」と栗田さんがチェーンソーを取り出しました。
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「15分ほどでできる簡単なものだから」という控えめな言葉とは裏腹に、豪快に丸太を削っていく栗田さん。
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小さめのチェーンソーに持ち替えて細部を調整していくと、だんだんとその作品が姿を表しました。
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そしてでき上がったのはかわいらしいフクロウ。本当に15分ほどで完成してしまったうえに、つくる様子は迫力があってかっこいい!
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こうした体験も、気軽に作家さんと触れ合える芸術祭だからこそ味わえるもの。制作の様子が見えてくると、作品の裏側に思いを馳せることもできるようになります。ちなみに栗田さんの作品には秘密の仕掛けがあるので、会期中に変化が楽しめるかもしれませんよ。ほかにも日によって異なるイベントを開催しているので、行くたびに新しい楽しみに出会えます。

美味しい!楽しい!の秘訣は市原の「人」にあり

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クオードの森を満喫したところで、「ちょっと寄っていかない?」と声をかけてくださったのは、喫茶コーナーのおじさまたち。ここではピザやコーヒーを提供していて、この日は焼き芋もいただくことができました。焼き芋を割ると湯気が立ち上り、口に入れるとほっくりとした優しい甘さ。
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ピザは、見た目は家庭的なものなのですが、家でつくるものとは段違いのおいしさ!

地元の食材を使い、石焼・釜焼きで作られていることがポイントだそうで、周りを囲む大自然やおじさまたちの優しさもスパイスになっているような。そういえば、これまで回ったどの作品でも、地域の方と話をしながら鑑賞することが、楽しさを増大させていることに気づきました。

訪れた人の数だけ物語が生まれる芸術祭

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市原は2013年に4校の小学校が廃校になるなど、過疎化が深刻な地域のひとつ。再び街に人を呼び寄せたいという想いから、2014年に「いちはらアート×ミックス」が誕生しました。「このあたりは個人でギャラリーを持っている方が多いんです。なので、アートになじみやすいのかな、と芸術祭に着目したのがはじまりです」と実行委員会の平田さんが教えてくださいました。

とはいえ、芸術祭を開催するまでには苦労もあったはず。「作家さんや地元の方など多くの人と協力しながらつくりあげていくものなので、今年も2度目とはいえ大変でした。多くの方々に参加してもらうには、どうしたら良いかを常に考えながら準備していました」。
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訪れてみると、案内してくれる地域の方は作品のことを知り尽くしていて、作品の意図や裏話について詳しく教えてくれます。みなさん一生懸命なのはもちろん、「生まれ育った市原の街が好きだからいろんな人に知ってほしい」という揺るぎない熱意を持って取り組む姿が印象的。だからこそ、そうした気持ちが作家さんに伝わって作品に魅力を加え、観ているこちらまで温かい気持ちになるのでしょう。

ほかにも、湖畔美術館で開催されているカラフルなマルシェでは、すてきな雑貨や陶芸などの ワークショップがあるなど、どこに行っても新たな発見がありました。
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帰りの列車から夕焼けをぼんやり眺め、色んな人に来て 欲しいなぁと考える私も、数々のアートに吹き込まれた市原の自然や人のパワーに魅了されてしまった一人。最後にもう一度言いますが、「すごくいいから、とにかくみんなにも行って欲しい!」。そんな芸術祭です。

(文/竹川春菜)

【いちはらアート×ミックス2017】

会期:2017年4月8日(土)〜5月14日(日)までの37日間 10:00-17:00
エリア:千葉県市原市南部地域[小湊鉄道上総牛久駅から養老渓谷駅一帯]
展示会場:IAAES[旧里見小学校]、月出工舎[旧月出小学校]、内田未来楽校[旧内田小学校]、
市原湖畔美術館、森ラジオ ステーション、いちはらクオードの森、旧白鳥小学校、白鳥公民館、アートハウスあそうばらの谷 他

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