2017年2月20日 更新

古いものへの愛着を教えてくれる場所。上野のリノベーションビル「ROUTE89 BLDG.」

レンタルオフィスやブックカフェなどが備わる複合施設「ROUTE89 BLDG.」をご存知ですか?この施設の建物は、以前はなんと「廃工場」でしたが、“リノベーション“が施されたことで現在のような姿となりました。ここにはレトロでオシャレな空間があるだけでなく、“古いものへの愛着 ”を知るためのヒントが散らばっています。

“古さ”と“新しさ”が混在する、魅力的な複合施設

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私が植物のワークショップへ参加した時に、たまたま会場だったのが上野駅から徒歩5分ほどの場所にあるこの「ROUTE89 BLDG.」でした。「アメヤ横町」や大型商業施設などが並ぶ駅前の喧騒に背を向け、東上野方面へと歩いていくと街の景色が変わり、住宅や工場跡地と思われる古い建物が徐々に目につくようになります。賑やかな駅前とは対称的な、静かな街並みの中にレトロで懐かしい印象の建物がありました。
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扉を開いて「ROUTE89 BLDG.」の雰囲気にびっくり。入った途端、そこにあるすべてのものが選び抜かれて置いてあるようなこだわりを感じたのです。

後々気になってこの建物を調べてみると“リノベーションされた施設”だということを知りました。もともとは廃工場だったこの施設は、住宅の設計や家具の製作などを行う工務店「ゆくい堂株式会社」により新しい施設へと刷新されました。

雑誌やテレビなどで、“古民家カフェ”という言葉を見聞きしたことのある人は多いでしょう。ご存知のとおり、“古民家カフェ”とは古い民家を“リノベーション”し、カフェに仕立てたもの。”古さ”と”新しさ”が混在するその独特な雰囲気などから注目を集めています。

廃工場から生まれ変わったこの施設では、どのような想いや、工夫が込められているのでしょうか。

モノ作りに携わる人々の“スピリット”が息づく場所

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「ROUTE9 BLDG.」に到着すると、大きくて頑丈そうな鉄の扉が目に飛び込んできます。その粗野な外観から、この建物が工場跡地であったことが伺えました。鉄錆びやコンクリートの壁に生じたひび割れなどから、建物が経てきた年月の長さを見てとることができます。
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※こちらのスペースは一般公開されていないため、許可なく立ち入ることは禁止されています。
「ROUTE89 BLDG.」の一階は、「ゆくい堂株式会社」のオフィスとワークプレイスになっています。天井が高く開放的な雰囲気のため、自由な発想力がどんどん助長されていくかのような感覚に。また、打ちっ放しコンクリートの壁や仄暗い照明など、建物内には工場だった頃のおもかげが色濃く残っています。
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「昔から“古いもの”が好きだったから」

「ゆくい堂株式会社」の代表・丸野信次郎さんが工場跡地をオフィス設立の場に選んだ理由はとてもシンプルなものでした。「新しいものが好きなことは決して悪いことではないと思います。でも、古いものやリノベーションされたものに囲まれた暮らしは落ち着くし、いいものだよ、というメッセージを発信できる場所にしたい」 と話してくれました。
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ワークスペースには、使い古された工具や家具の材料となる木材がたくさん。モノ作りにたずさわる人たちの“スピリット”があちこちに息づいています。

温もりを感じさせる、最高の癒し空間がありました

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「ROUTE89 BLDG.」の最上階となる4階では、本や植物、さらにはお皿やブックスタンドといった雑貨が販売されています。また、こちらはブックカフェでもあり、コーヒーを飲みながら読書を楽しむ人の姿もちらほら。
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色鮮やかなグリーンと柔らかな日差し、そして温もりを感じさせる手作りの雑貨で満たされた空間には、誰もが癒されるでしょう。また、レトロな空間とプロダクトに囲まれると、なんとも言えない落ち着きを感じるもの。ソファに腰掛けてコーヒーの香りを楽しむうちに、つい時間が経つのを忘れてしまいます。
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こちらは手作りのブックスタンド。通常は捨てられてしまうような、いわゆる“切り落とし部分”にあたる、古い木材が材料として使われてい ます。年月の経過を感じる古びた木材ですが、それが味わい深さを助長しています。紛れもない“一点もの”であるだけでなく、使えば使うほどに愛着も増していきそう。”古さ”と”新しさ”への思いがここにも感じられました。

様々なクリエイターが集うアトリエ兼ショップスペース

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2階のシェアオフィスを抜けた3階のフロアは、「SHACK VILLAGE」と呼ばれるアトリエ兼ショップスペースになっています。「SHACK VILLAGE」のコンセプトは、“作り手の顔が見える店舗兼アトリエ“。このコンセプトに賛同したクリエイターが、こちらのフロアでお店を構えています。

現在運営されているお店は、洋服屋、靴屋、キャンドルストア、マッサージサロンの4店舗。 洋服屋、靴屋、キャンドルストアにはアトリエが併設されており、訪れたお客さんはプロダクトが生み出される工程を垣間見ることができます。
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一般的なショップで買い物をしている限り、製品の“作り手”に接する機会はあまりないもの。しかし、「SHACK VILLAGE」では、「ここのキャンドルはどれも可愛いですね」「お店の隣にあるアトリエで、一つ一つ手作りしているんですよ」といった会話を、お客さんと“作り手”が交わすシーンが当たり前のように見受けられます。会話を通じて“作り手”の想いやポリシーにも触れることができるため、製品に対する愛着がお客さんのなかにも自然と芽生えるのではないでしょうか。

新しいものを“あえて”追わないことで実現する、豊かな暮らし

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本来であれば誰も見向きもしないような廃材などを利用して、プロダクトを生み出す。それは真新しい材料を使ってピカピカの新製品を作るよりも、はるかに時間もコストもかかることだと丸野さんが教えてくれました。

「ROUTE89 BLDG.」の建物やプロダクトは、もともとは“古いもの”に過ぎなかったはずですが、丸野さんはじめとするスタッフの技術とセンスにより、幅広く受け入れられるものへとアップデートされています。

「ROUTE89 BLDG.」は、 “古いもの“に新たに息を吹き込み、そしてその良さを伝える場所。今回訪れたことで、”古いもの”への愛着という、新たな価値観が芽生えました。

(文・写真/ogata)

【ROUTE89 BLDG.】

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住所/東京都台東区東上野4−13−9 ROUTE89 BLDG
TEL/ 03-5830-2666
営業時間/12:00~19:00
定休日/水曜日

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