2017年3月27日 更新

会社帰りに心調えるひと時を。スマホを置いて自分と向き合う「夜坐禅」

30代になるとすっかり仕事には慣れ、やりがいも十分。しかし、ふと立ち止まってみると、忙しい日々に流されている自分がいることに気がつきました。そこで、「何も考えず無心になれる時間がほしい!」と向かった先は「東京禅センター」。気軽に参加できる「夜の坐禅」は、情報に埋もれてしまいがちな自分を取り戻すための貴重なひとときとなりました。

忙しい社会人こそ欲している「無になれる時間」

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30代になるとすっかり仕事には慣れ、やりがいも十分。しかしふと立ち止まってみると、忙しい日々に流され自分と向き合う時間が取れなくなっていることに気がつきました。

「何も考えず無心になれる時間がほしい!」。その思いで向かった先は、世田谷区にある「東京禅センター」。忙しい日々を送るハレット世代でも気軽に参加できる「夜の坐禅」は、溢れかえる情報やタスクを置いて自分を調えることができる、貴重なひとときとなりました。

平日の仕事後でも気軽に参加できる「夜の坐禅」

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ある平日の夕方。早めに仕事を切り上げて電車に飛び乗り、東横線「学芸大学駅」に降り立ちました。子どもたちが家路を急ぐ姿を横目に15分ほど歩くと、閑静な住宅街の中に表れたのは、大きく立派なお寺「龍雲寺」。その隣に佇む施設が、今回の目的地「東京禅センター」です。
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東京禅センターが開催している夜の坐禅。都内では、世田谷区の禅センターと台東区の円光寺の2箇所があります。それぞれ月1回のペースで行っており、忙しい社会人のライフスタイルに合わせて予約なしで参加することができます。基本的に18時30分から始まるので、仕事が早く終われそうな日を見つけてふらりと参加できるのも嬉しいところです。

また、お寺に入るのは少し気後れしてしまいそうですが、禅センターは公民館のようなつくりなので安心して入ることができます。扉を開けると、僧侶の中山さんが笑顔で迎えてくれました。

坐禅を通して、雑念でいっぱいな自分を知る

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早速、座布団の敷かれた部屋で坐禅についてのお話がはじまりました。何も知らない私たちにもわかるよう、ともに禅宗である臨済宗と曹洞宗の違いから坐禅の作法まで、丁寧に教えてくれます。そしてひと通りお話を伺うと、いよいよ坐禅に入ります。
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坐禅の基本は、左足を右足の付け根に、右足の付け根を左足の付け根に置き、あぐらのような姿勢になること。背筋を伸ばしたら、おへその下の「丹田」に力を入れながら息を吐き、吐き切ったら自然に任せて息を吸い込みます。呼吸というとまずは大きく吸うイメージですが、吐くことが先。さらに、吐きながら「いーち、にーい…」と数を数えることがポイントです。こうして、1.5メートルほど先をぼんやり眺めながら呼吸を繰り返していきます。
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坐禅は1回15分。呼吸に集中することが大切だと教えていただいたにも関わらず、なぜか頭にはどうでもいいことばかりが浮かびます。「そういえばあのメール、返信するのを忘れてた」「いやいや、呼吸に集中しないと」…こんなやりとりを自分の頭の中で繰り返しているうちに時間は過ぎてゆきました。

「今ここにある自分」を感じることが心を調える第一歩

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読経をしたら休憩に入ります。「どうでしたか?」と聞かれたものの、あまり集中できないと答えるしかない私。ところが「それでいいんですよ」と優しい言葉をかけていただきました。
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坐禅をする上で何より大切なのは、今ここにある自分を感じることだと中山さんは言います。

「私は、坐禅は『心の洗面台』だと伝えているんです。
洗面台の鏡の前に立つと、その日その時の自分の顔が映りますよね。坐禅はそれと同じで、今の自分の乱れを映して感じることができるもの。そしてその乱れを調えることができるものです。『整』という字が『くずれたものを正す』という意味があるのに対し、坐禅では自分と調和するという意味で『調』の字を用いて表現しています。坐禅の姿勢や呼吸は、『調身』『調息』『調心』と言い、自分を調えるための手段なんですよ」。
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その言葉を念頭に、今度は自分に意識を向けて坐禅を再開。途中で浮かんだ雑念は、「今、私はこういうことを考えた」と認識した上で、息を吐きながら手放していきます。目に見えるものや聞こえる音など、自分をとりまくものを感じながら過ごすようにしていると、普段はあっという間の15分も濃い時間に感じられます。また、眠気に襲われたら、「警策(けいさく)」という棒で肩に檄(げき)を入れてもらうと、再び集中することができました。

実は私たちの生活に深く根付いている「禅」の心

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こうして3回の坐禅が終わり、最後はお茶をいただきながら一息。最初と比べると、頭の中が整理されてすっきりとした自分がいることに気がつきました。きっと、こうした時間を求めている人は大勢いるはず。

実際、この3年で坐禅の参加者は3倍にも増えたのだそうです。若い女性やサラリーマン、外国人観光客まで、参加者の年齢や性別はさまざま。「現代はスマホの普及に伴い、外に情報を発する傾向にありますが、その一方でそれらを手放して自分と向き合う時間を欲する人が増えているのかもしれませんね」という言葉に、思わず深くうなずきました。
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「でも、よく考えてみてください。坐禅とは言っても座って呼吸をしていただけ。いつもやっていることですよね」と微笑む中山さん。「禅」というと何だか特別なことに思えますが、実は普段の生活の中でもできる身近なものなのだと教えていただきました。

文明の利器はもちろん大切だけれど、スマホやパソコンをちょっと手放して呼吸を調えれば、どんな情報よりも大切な本来の自分が見えてきます。「とらわれない、こだわらない、偏らない」を合言葉に掲げる先人の知恵には、情報過多な現代を生きるコツが隠されていました。


(文/竹川春菜)

【臨済宗妙心寺派 東京禅センター】

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住所/世田谷区野沢3-37-2 龍雲寺会館
アクセス/東急田園都市線「三軒茶屋駅」より徒歩20分、「駒沢大学駅」より徒歩15分、東急東横線「学芸大学駅」より徒歩15分

夜の坐禅体験

日程/3月15日(水)、4月19日(水)※毎月1回水曜日夜開催
時間/18:30〜20:30
会費/500円

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